生きる

生きながらえる

帰りたくない

そろそろ部屋を退去しなくちゃいけない。ずっと使っていなかった備え付けだった白いシーツを久しぶりに洗って、窓から垂らして干した。少し肌寒いけど天気はよくて、たまに吹く風でふくらんだりしぼんだりを繰り返しながらシーツは乾いていった。

日本に帰りたくない。仲の良い隣人と連日ピザを焼いて遊んでいる。可愛い恋人は日本に着いてきてくれるけど、こっちで出来た友人たちと別れることが心細い。

ずっとやっぱり愛だなあと思っている。愛だ。全部愛。日本に帰って言葉がわかるようになるのが怖い。街に出てでくわす人々が向けてくれる微笑み、ぶっきらぼうな接客も大好きだった。言葉がわからない方が私にとっては幸せだ。

家を出る最後の日が想像できない。ただ、日本に帰って日本にまた馴染んでゆく自分は想像できる。

帰りたくない。一生この時間が続くなら私は本当に何もいらない。でも時間は流れる。いやだなあ。みんな結婚なんて仕事なんてしないで一生このままでいようよ。

恋人の話・愛の話

去年の秋、久しぶりに恋人が出来た。恋人は存在自体がハッピーだ。周りからみると大したことなくても、わたしからしたら「こんな素晴らしい人が世界にいたなんて!」だし、思う存分愛を注げる相手がいるのはいいものだ。

ただ、好きになれば好きになるほど、気持ちを揺さぶられることが多い。恋人の一言で、天国から地獄に落ちることは多いし、逆も然り。もう本当に嫌だ。恋人は存在自体がハッピーだ。恋人の手に触れたり、頬に触れたり、額を撫でている間、間違いなくわたしは幸せだ。

しかし溶けるような愛をもってしても、わたしと恋人は他人なのだ。触れ合っている時ですら他人だし、わたしたちは血と肉の入った袋でしかない。温度は感じられても、心のなかは永遠に見えない。皮膚が透明であっても見えないものは絶対に見えない。

振られるのは絶対にわたしだ。きっとこう思っていることすら恋人は嫌なんだろう。だから言わない。でも振られるのは絶対にわたし。今の恋人はわたしをきっと愛してくれている、でも「きっと」は一緒にいる間ずっと消えないし、きっと永遠なんてものはない。

あなたがいなくなる日のことを考える。わたしの携帯に、あなたから短いメッセージが届く。そのメッセージを読んで、わたしは一瞬頭のなかを真っ白にして、携帯を閉じる。でもずっと準備はしてきたから、三回深呼吸をしてから携帯を開いて「わかった」って書いて送る。それから「今までありがとう」って書いて送る。わたし達はそれから一生会うことはない。それでも人生は続くし、わたしは他の人を愛するし、あなたは別の人を愛する。

温度が欲しい。触れる熱が欲しい。心は見えないし愛も見えない。不確かなものを抱えて生きる人間のかなしさよ。熱が欲しい。あなたがわたしに短いメッセージを送る前までの短い間、熱をください。少し先の一緒にいる未来を一緒に想像できたら、わたしは幸せだ。もう一体何が愛なんだろう。わたしが恋人に注いでいるものは一体何なんだ。胸がいっぱいになったりふわふわしたり悲しくなったり苦しくなったりするこれはなんだ。やっぱり温度が欲しい。裸で抱き合って眠りたい。

目の前の恋人も恋人の目に映るブサイクな顔した私も一思いにひゅっと消えてしまえたら揺らぐこともためらうことも泣くことも笑うこともないんだろう。愛ってなんだろう。

お題「旅行に必ず持っていくもの」

 

友達もあまりいないし、旅行はそんなにしない。大体いつも家で引きこもって暮らしている。
海外に来てからも、研究目的でしか他の土地に行くことはないし、それを果たして旅行と呼んでもいいのか謎だ。
旅行らしい旅行をしたのは、二年前、親友と伊豆に行ったことくらいか。そういえば去年、わるい友達と箱根や江ノ島にも行った。そう考えると結構旅行している。全て東京近郊だけど。いつもリュックサック一つで出かける。

おしゃれは嫌いではないけど得意でないので、下着と靴下の替えさえ持っていればへっちゃらだ。はしゃぐと川や海に落ちやすいので、余分に持っていく。シャツやズボンは歩いていたら乾くのでいい。でも下着や靴下が湿っていると気持ちが落ち込む。だから重要だ。
日本にいたときは、化粧水とニベアも持っていった。今いる国では、そもそも化粧水があまり売ってないし、ニベアは日本と成分が違っていて塗るとすぐに肌が荒れる。だからシャワーを浴びた後は何も塗らず寝る。現在肌はボロボロだ。日本に帰りたい気持ちは一ミリもないけど、日本の化粧水と日本製のニベアは恋しい。
カメラはお手軽にiPhoneで済ませてしまうし、化粧は時間が有り余っている時しかしないので、持っていくものは大量の下着と靴下、あれば化粧水とニベアくらいか。あと日焼け止め。最近日焼け止めを怠けて塗らずにいたら肌がただれてきた。塗るのはいいけど落とすのが面倒くさいんだよなあ。

 

お題「旅行に必ず持っていくもの」

 

自己紹介

海外に住んでそろそろ一年、折角だから日本語をあまりしゃべらない生活をしようと意気込んでいたら日本語ができなくなってしまったので、コソコソ書いている日記とは別に人に見せれる文章を書く練習をします。
ちなみに帰国は目前です。帰国まで続けていければいいな。

海外には留学で来ています。
今いる国には小さいころ住んでいましたが、ネイティブでもバイリンガルでもありません。
日本語忘れてきている割に、正直それほどできません。
ただ発音をそれっぽく喋れることができるので、留学選考試験はそれで通りました。
好きな食べ物は鳥を焼いたやつです。
名前は小顔のブスです。

よろしくお願いします。